当たり前に思われるかもしれませんが公共の場での振る舞いはこれまで以上に注意が必要です。
なぜなら知らぬ間にGoogleMapやYouTube、TVなどの映像にあなた自身が無意識のうちに写り込んでいるかもしれないからです。
目次
知らぬ間に映像に写り込んでいる可能性
スマートフォンやSNSの普及により、私たちの日常のあらゆる瞬間が写真や動画として記録される時代になっています。
その中には、Google Mapの街並み写真や、YouTubeの駅前のライブ映像やテレビ番組での天候を伝えるニュースや街頭インタビューなど、公共の場で撮影された映像も含まれます。
これらの映像に、知らぬ間にあなた自身が写り込んでしまうことがあるのです。
公共の場での撮影
日本の法律では、公共の場所での撮影自体は基本的に違法とはなりません。
これは、表現の自由や報道の自由を保障するためです。
しかし、撮影された映像の使用方法によっては、プライバシーの侵害や肖像権の侵害となる可能性があります。
プライバシー侵害と肖像権侵害
プライバシー侵害とは、個人の私生活上の事実や情報を、本人の意思に反して公開することを指します。
一方、肖像権侵害は、本人の同意なく顔や姿を撮影・公開することで、精神的苦痛を与えることを指します。
これらの侵害が認められるかどうかは、以下のような要素を総合的に判断して決定されます。
- 撮影された場所(公共の場所か私的な場所か)
- 撮影の目的(報道目的か商業目的か)
- 撮影の方法(隠し撮りか公然と行われたか)
- 被写体の社会的地位(公人か私人か)
- 撮影された内容(日常的な行動か特殊な状況か)
Google Mapと街頭映像
Google Mapのストリートビュー機能は、街並みの写真を提供するサービスです。この写真には、道行く人々の姿が写り込むことがあります。
Googleは、個人のプライバシーを保護するため、顔や車のナンバープレートにぼかしを入れるなどの対策を行っています。
しかし、完全に個人を特定できないようにすることは難しく、服装や体型、場所などから個人が特定される可能性は残ります。
Google Mapに投稿される観光名所やレストランなどの写真に第三者が写り込んでいる場合、基本的にはその人々の明示的な許諾は得られていません。
しかし、公共の場所で撮影された写真の場合、写り込みは「付随的な撮影」として扱われることが多く、必ずしも肖像権侵害とはみなされません。
テレビ番組でも、街頭インタビューやニュース映像として、公共の場で撮影された映像が使用されることがあります。
これらの映像にも、意図せず写り込んでしまう可能性があります。
多くの放送局は、個人のプライバシーを保護するためのガイドラインを設けています。しかし、ガイドラインの対策を完全に行うことは難しく、意図せず個人が特定される可能性は残ります。
法的な保護と限界
公共の場での撮影に写り込んだ場合、法的にどのような保護が受けられるのでしょうか。
現行法での保護
- プライバシー侵害や肖像権侵害が認められる場合、民法上の不法行為として損害賠償を請求できる可能性があります。
- 撮影された映像が個人情報保護法の対象となる場合、その取り扱いに関して一定の規制があります。
- 映像を利用してストーキング行為が行われた場合、ストーカー規制法による保護を受けられる可能性があります。
法的保護の限界
しかし、これらの法的保護には限界があります:
- 公共の場での撮影自体は基本的に違法ではないため、撮影を事前に防ぐことは難しい。
- インターネット上で一度拡散した映像を完全に削除することは、技術的に困難。
- 海外のサービス(Google Mapなど)に対して、日本の法律を適用することが難しい場合がある。
自己防衛の重要性
このような状況下では、私たち一人一人が自己防衛の意識を持つことが重要です。
公共の場での振る舞いに関する注意点をいくつか挙げます。
1. 服装に気を付ける
特徴的な服装は、映像に写り込んだ際に個人を特定しやすくなります。
公共の場では、あまり目立たない服装を心がけましょう。
2. 行動に注意を払う
特定の場所に定期的に現れたり、特徴的な行動をしたりすると、行動パターンを把握されやすくなります。
できるだけ予測不可能な行動を心がけましょう。
3. 撮影されている可能性を意識する
街頭カメラやスマートフォンを持った人々など、周囲に撮影機器がないか常に意識しましょう。
撮影されている可能性がある場所では、特に慎重に行動しましょう。
4. プライバシー設定を確認する
SNSなどを利用する際は、プライバシー設定を確認し、必要以上に個人情報を公開しないようにしましょう。
5. 映像削除の申請方法を知る
自分の映像が公開されていることに気づいた場合、各サービスの映像削除申請の方法を知っておくことが重要です。
Google MapやYouTubeなど、主要なサービスは削除申請の仕組みを設けています。
法改正の可能性と今後の展望
現在の法制度では、公共の場での撮影や映像の利用に関して、十分な規制がなされていないという指摘があります。
今後、次のような方向での法改正が検討される可能性があります:
- 公共の場での撮影に関するガイドラインの法制化
- 個人情報保護法の適用範囲の拡大
- ストーカー規制法の強化
これらの法改正が実現すれば、私たちのプライバシーや肖像権がより強く保護される可能性があります。
しかし、表現の自由や報道の自由とのバランスを取ることが難しく、慎重な議論が必要です。
意識を高めて自己防衛を
公共の場での撮影や映像の利用は、今後ますます増えていくことが予想されます。
法的な保護には限界があるため、私たち一人一人が意識を高め、自己防衛に努めることが重要です。
しかし、過度に神経質になる必要はありません。
公共の場での自然な振る舞いは、社会生活を送る上で重要です。
適度な注意を払いつつ、日常生活を楽しむことが大切です。
最後に、もし自分の映像が不適切に使用されていると感じた場合は、ためらわずに該当のサービスや法的機関に相談してください。
私たち一人一人の行動が、より良い社会づくりにつながるのです。
公共の場での振る舞いに気を付けつつ、豊かな社会生活を送りましょう。