アロマ水をサウナストーンにふりかけ、タオルなどを用いて水蒸気をサウナ室全体に行き届かせるアウフグース、日本では「熱波」として源流を重んじつつ、それを進化させつづけています。マンガやラーメンのように世界に誇る日本発祥ではないが今となってはマンガもラーメンも日本文化の象徴と昇華したのと同じように、「熱波」もアウフグースを源流として、本場を凌駕する世界を牽引する新たな文化を牽引しています。
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アウフグースは約800年も前のヨーロッパが起源
サウナの起源はフィンランドですが、アウフグースの起源はフィンランドではなくハンガリーです。その昔、ハンガリーの湯治場サウナに具合が悪い人々が集ったが元気がでませんでした。
諸説ありますが、サウナに湯治している弱った人々に少しでも元気になって欲しいと考えた当時のスタッフがサウナ室で特別な衣装を身につけ、旗を振り、入浴者を楽しませつつ応援したのがアウフグースの源流だという説が伝えられています。
そのハンガリーはドイツの隣国です。日本人は歴史的に色々な分野でドイツをお手本にして成長してきました。日本と比較してドイツのサウナ室には男女の大人数が同じサウナ室に入れる広さがあります。
サウナ室が広すぎるので場所による温度と湿度のギャップを埋めるため、必然的にアウフグースが広まり、定着したのがドイツです。
日本へのアウフグース伝来と進化
近年のサウナブーム黎明期、日本人はドイツのサウナに学び、1980年代に北海道で初めてアウフグースが輸入されました。
ただ、日本のサウナ室はドイツに比べて広くなく、アウフグースをしなくてもロウリュした蒸気は自然と広がるので国内での広がりには時間がかかりました。
神奈川県横浜市の人気サウナ、YOKOHAMA SKY SPAでアウフグースが導入されたのも1996年ですが、これでも国内ではパイオニアとなります。
その後、アウフグースは現在に至るまで日本の独自形式で発展を続け、その進化の勢いは今も止まる所を知りません。
これまでもサウナに限らず、日本人は外国から輸入したものを工夫し、加工し、磨いて独自の文化として進化させ続けてきました。マンガやラーメンがそれらの代表です。
熱波とアウフグースとの違い
狭い日本のサウナ室において、輸入されたアウフグースが「熱波」として進化を続けています。その独自の発展背景には日本人として「客人はもてなす」という精神、日本人としてあたりまえとなっている美徳があります。
熱波師と呼ばれる人がサウナ室で「客人をもてなす」為にロウリュし、タオルなどで水蒸気を拡散させるために仰ぐのが熱波です。
日本人がドイツのレストランなどの施設で一番驚くのが接客の違いです。ドイツの接客業におもてなしの精神は皆無です。ドイツでは残業をしない、ドイツ人は空気を読まずに自分の意見を言い、日曜日と祝日はドイツ全国のスーパーは休みになります。多くのドイツ人女性はノーメークで出社したり、買い物に出歩きます。
ドイツ人は他人の評価よりも自分の評価、仕事よりも休日、会社よりも家族を優先するという考え方が浸透しているからです。メイクをしていようが、ノーメイクだろうが自分の本当の価値は何も変われないと考えています。メイクだけでなく、服装、ファッショに対してもドイツ人は無頓着です。ダサい部屋着で平気で外出します。学校や会社にもそのまま行きます。日本のように流行のファッションを追うこともなく、スーツを着てネクタイをしているサラリーマンも少なく、靴下に穴が空いていたり、服に毛玉がついていても平気な人なのです。オシャレかどうかよりも機能性を重視するのがドイツ人なのです。
ドイツは昔からサウナ好きの国です。スポーツクラブやプールはもちろん、自宅にもサウナを設置している人も珍しくないほどです。そんなドイツではサウナは基本的に男女混浴で全裸で入ります。ドイツ人は他人の目を気にしません。大事なのは自分の楽しさや満足感なのです。
ドイツ人は休むために働いています。短時間で仕事を終わらせることを考え、自分の仕事が終わっても他人の仕事を手伝う事をしません。とにかく残業をせずにさっさと帰ります。
良くも悪くも上下関係がないのがドイツです。お店では店員がお客に対して低姿勢になることはありません。笑顔で接客することもなく、忙しい時にお客から話しかけると鬱陶しがられる店員が多く、お客に対してタメ口があたりまえです。
こうした気質のドイツが起源のアウフグースにはおもてなしの気持ちなどこもっていません。広いサウナ室を隅まで温めるだけの機能的なモノにすぎません。
アウフグースを学んだ日本人はその機能性に加え、サウナ室のお客様に極上のととのいを体感し、健康になって欲しいとのおもてなしの精神が加わって独自進化しているのが熱波なのです。
NEPPAとしてドイツに逆輸入されるにはドイツ人の気質が変わらないと難しいかもしれませんが、日本のサウナ文化としてNEPPAが世界に広まり、受け入れられる日は遠くないでしょう。