コロナ禍で昨年の第一回目の緊急事態宣言後、ステイホームの自粛生活中に最近寝つきが悪い、寝起きが悪い、寝ても寝ても疲れるということがあったので当時調べた西野精治(著)、「スタンフォード式 最高の睡眠」(サンマーク出版)を1年経って振り返ってみた。著書の要約とその後の私の睡眠状態です。
日本人は世界一、睡眠偏差値が低い!?
著書に西野精治氏は世界一と言われるスタンフォード睡眠研究所で30年も睡眠を研究している教授であり、医師でもある。睡眠は1日の1/3を使っている大切なものだ。しかし、日本人は睡眠時間が6時間未満の人が40%もいたり、日本人は世界的に見るとめちゃくちゃ睡眠時間が少ない。
睡眠が不足すると休息できなくなり、免疫力も低下し、病気にもなりやすくなる。また、記憶の定着が悪くなり、更にはホルモンバランスが崩れたり、脳の老廃物が溜まるなど、害がたくさんあるそうだ。この著書にはサンディエゴ大学とアメリカがん協会が行った100万人規模の調査も載っていて、それによると「睡眠時間が短いと死亡率も高い」という結果も出ているとの事だ。正確には、平均値に近い7時間眠っている人たちが死亡率が1番少なくて、それよりも短時間睡眠の人も逆に長時間睡眠の人も「6年後の死亡率が1.3倍高い」というデータだ。どうやら、恐ろしいことだが、睡眠時間が短いと命を削っていると思った方がよいということらしい。ただ、単純に睡眠時間が長すぎてもダメで、つまり、結局ところ睡眠は「量より質」っていうことだった。現実的に考えても睡眠時間を考えるとなかなか難しいのが実状だ。じゃあ、どうやって睡眠の質を上げればよいのか?という結論が「最初の90分を深くする」との事で、何故かというと、最初の90分のノンレム睡眠は睡眠全体のなかで最も深い眠りだからだそうだ。著書では黄金の90分と表現されている。
90分の倍数で起きると良い!?
ノンレム睡眠とレム睡眠の周期は90分なので90分の倍数で眠ればいいと言われているが、実は必ずしも90分周期とは限らない。90分の倍数で寝ても目覚めが悪いケースはいくらでもある。スリープサイクルには個人差があり、実際の1周期は「およそ90分〜120分」と幅がある。その為、90の倍数で起きることを気にする必要は全くない。
レム睡眠
レム睡眠は「脳は起きていて体は眠っている睡眠のこと」
ノンレム睡眠
ノンレム睡眠は「脳も体も眠っている睡眠のこと」
人は睡眠時にレム睡眠とノンレム睡眠を繰り返しているそうだが、最初の90分のノンレム睡眠がめちゃくちゃ深い眠りで、その後、時間が経過していく毎にどんどん浅いなっていく。どのように、この最初の90分間をより深くするかが重要となる。しかも、グロースホルモンという成長ホルモンが最も多く分泌されるのも、この最初のノンレム睡眠が訪れた時らしい。グロースホルモンは子供の成長だけでなく、大人の細胞の増殖や正常な代謝を促進させるといったアンチエイジング効果もあると言われている。だからこそ、最初の90分のゴールデンタイムを阻害してはならないし、この事ことが本著書で最大基礎と言っている部分である。
どうやったら最初の90分をより深い眠りにすることができるのか?
就寝の90分前に入浴
人間には皮膚温度と深部体温というのがあって、皮膚温度は「皮膚(体の外)の温度」、深部体温とは「体の中心の温度」だ。そして、深い眠りにつくには、この深部体温というものが下がった時となるらしい。だからどうしても深部体温を下げないといけないんだが、これは入浴によって下げることができる。入浴で一時的には深部体温が上がってしまうが、上がった分だけ大きく下がろうとする性質があるため、入浴した90分後に元に戻り、その後、更に深部体温はガクッと下がる。だから、寝る90分前に入浴を済ませておけば、その後、更に温度が下がり、スムーズに入眠できるメカニズムらしい。
寝る前に靴下を脱ぐ
靴下を履いたまま寝てしまうと、足からの熱発散が妨げられてしまう。靴下を履いて足を温める、その後、靴下を脱いで熱発散することで「深部体温を下げて入眠できる」というプロセスが理想ということだ。
室温コンディショニング
室温が高くても低くても睡眠の質が悪くなる。温度が高すぎると必要以上に汗をかくし、室温が低すぎると血行が悪くなり、熱発散が起らず眠りにくくなる。適温は個人差が激しいので、厳密に何度が良いとは言えないと本著では書かれている。エアコンなど電気代をケチらず、自分が心地よいと思う温度で寝ることを心がけるようにしたい。
睡眠の質をあげるために「やってはいけない事」
寝る前にスマホやパソコンをいじらない
スマホやパソコンを操作して脳を刺激することに問題があるそうだ。
羊を数える
羊を数えるのも脳が覚醒して、眠りを妨げるという研究結果も紹介されており意味がない。
貧乏揺すり
リズムのある揺れをつくり出すとき、脳はリズムをつくろうとしてフル活動するらしい。
ストレッチ
寝る前に真剣にストレッチすると脳が能動的に活動してしまうため、眠りを遠ざける原因となるそうだ。寝る前のストレッチはほどほどにした方がよい。
いつもより早く寝て、早く起きしようとする
いつもより早く起きなければならない時があるが、実は、寝る時間を1時間早くするよりも「いつもどおりの時間に寝て睡眠を1時間削る」方が質の高い睡眠を取りやすいそうだ。
昼寝について
現代人は14時間〜16時間起きているのが普通だが、眠気をこらえて起き続けるよりも、仮眠をとった方がパフォーマンスが上がることが分かっているそうだ。GoogleなNIKEなどの大手企業も勤務時間中に昼寝を推奨しているところがある。ただ、注意しないといけないのは「短時間の昼寝がよい」ということだ。20分程度、長くても1時間くらい。
1年経過して振り返り
本著では、湯船に15分は浸かっていることを推奨されている。2020年、コロナ禍でステイホームがはじまった当初は湯船に浸かっていたが、風呂には寝る時間よりも随分早く、夕食前に入るようになってしまった。夏場などはシャワーだけになってしまったので継続できていないかった。靴下は寝る前には脱いでいた。スマホは寝る前にはいじらないようにした。結果、新型コロナや風邪にかかることなく健康だったが睡眠の質は良くなったときも、睡眠が阻害されるときもあった。朝の起き方も重要でアラームはスヌーズを多用せず、レム睡眠とノンレム睡眠の合間を狙うということも途中で忘れてしまって継続できていなかった。3回目の緊急事態宣言で振り返りの時間を得られた。良質な睡眠のために、この1年実践できなかったことを改善していきたい。
参考:西野精治(著)、「スタンフォード式 最高の睡眠」(サンマーク出版)
参考:【睡眠専門医 YouTube始動】 スタンフォード大学 西野精治教授の挨拶

出典:最高の睡眠をgiftするスリーペディア
参考:【記事要約】スタンフォード式最高の睡眠に学ぶ | 睡眠10ヶ条

出典:最高の睡眠をgiftするスリーペディア
睡眠10ヶ条
01.睡眠時間の固定と2段階アラーム

出典:最高の睡眠をgiftするスリーペディア
02.太陽の光を浴びる
03.咀嚼を重視した朝食
04.パワーナップ(15〜30分程度の仮眠)
05.冷たいものを持つ or 冷水で手や顔を洗う
06.冷やしトマトを食べる(深部体温を下げる)
07.就寝90分前に入浴(炭酸泉) or すぐ寝たい時はシャワーを浴びる
08.スマホを排除する
09.入眠時間の固定

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10.靴下は脱いで裸足で寝る
参考【記事要約】睡眠の質は入眠後の90分で決まる! | 覚醒スイッチと体温スイッチとは?

出典:最高の睡眠をgiftするスリーペディア
参考 【専門医監修】睡眠負債とは? | 寝溜めで睡眠不足は解消できない!!

出典:最高の睡眠をgiftするスリーペディア
参考 【要約動画】理想的な睡眠時間と眠りの質 | 睡眠不足からくる6つの睡眠不調

出典:最高の睡眠をgiftするスリーペディア
睡眠不足からくる6つの睡眠不調
1.太りやすくなる
2.感情が不安定になり思慮に欠ける
3.認知症のリスクがあがる
4.仕事のパフォーマンスが下がる
5.感染症・アレルギーリスクが増える
6.死亡率が上がる
睡眠の質を上げる3つの方法
次の3つの習慣を取り入れることが大切だが、睡眠習慣は人それぞれなので、自分にとって良い習慣を取り入れることも大切とのこと。
1.眠りに入る儀式を行う
眠る時間に合わせて徐々に明かりを消していく、アロマを焚く、パジャマに着替える、クラシック音楽を聴くなど睡眠に入る前の行動をルーティーン化することで覚醒時のOnモードからOffモードに自然に切り替わり、心や体がリラックスし寝付きが良くなる。
2.眠り始めの90分にこだわる
睡眠は眠り始めの90分が最も大切。この90分が最も深い睡眠であり成長ホルモンの約8割が分泌されるからだ。この最初の90分をしっかり眠ること=睡眠の質を上げることと言っても過言ではない。
3.セロトニンを増やす
セロトニンは睡眠ホルモンであるメラトニンの原料にもなる。良質な睡眠のためになくてはならないもの。日中に朝日をしっかり浴びる、軽い運動をするといった活動を積極的に行うことでセロトニンが増え、夜ぐっすりと眠ることができる。セロトニンは日光の照射で合成が促進され、逆にメラトニンの合成は光で阻害される。なので、朝は光をあべて、夜はなるべく光を浴びないようにするということが大切だ。
参考:免疫力を高める睡眠は新型コロナウイルス感染の防御策

前編 出典:中田敦彦 Youtube大学

後編 出典:中田敦彦 Youtube大学
参考:眠りの相談所
寝具メーカーの東京西川が眠りのコンサルティングサービスを提供してたんですね。西野先生の教えを実践しても良質な眠りを得られない場合は「眠りの相談所」で相談して、枕やマットレスなど交換した方が良いのかな?日々の暮らしの中でも睡眠にはケチらず、時間もお金も投資すべきだったのかもしれません。
参考:Matthew Walker(著)、睡眠こそ最強の解決策である(SBクリエイティブ)
アメリカ、イギリスでベストセラーの睡眠本
ガーデン紙やタイム誌も絶賛! アメリカの公共ラジオNPRの2017年ベストブックスに選出! サンデータイムズ、ノンフィクションベストセラー2位!
世界各国からオファー殺到の睡眠本、ついに日本初上陸!睡眠7時間以内だと早死にする?学習前に仮眠をとると、学習能力が飛躍的に高まる?
――NBA、NFL、ピクサー…最強の睡眠コンサルタントが教える最強の睡眠法世界的に著名な神経科学者かつ睡眠のエキスパートが、睡眠科学の最新知識を提供する。本書は、知的好奇心を満たすだけでなく、睡眠の量と質を疎かにすることが、いかに、健康、安全、ビジネスにとって悪影響を与えるかについて具体的に説明する。
生き方をも変えるかもしれない本書は必読書である。-アダム・ガザレイ博士氏(米カリフォルニア大学サンフランシスコ校神経学・心理学・精神医学教授)睡眠の謎について早急に解決する新しい科学について分かりやすく説明する。非常に面白く、読者は寝る時間も忘れて本書のページをめくることだろう。
-ダニエル・ギルバート(ハーバード大学心理学教授)いま世界中が快適な眠りを求め、「睡眠ビジネス」が注目を集めています。そんななか、20年間睡眠を研究し、カリフォルニア大学バークリー校睡眠・神経画像ラボラトリーの所長として、名だたる企業の睡眠コンサルタントを務めるマシュー・ウォーカー氏の本書は、最強の睡眠を語るのにふさわしい睡眠大全とも位置付けられる一冊でしょう。
本書では、「睡眠とは何か?」というそもそもの話から、最新の研究で明らかになった睡眠の様々な効果を明かすとともに、睡眠の科学を社会でどのように役立てることができるのかを描きます。・昼寝(仮眠)で記憶力が上がる、パフォーマンスが上がる
――ボルトも世界新の前に昼寝していた。
・6時間睡眠の日が10日続くと、1日徹夜した時と同じくらい脳の機能は
衰えるが、本人は自分が睡眠不足だとは認識していない。
・朝方、夜型は遺伝で決まっている。
・思春期の子供は体内時計が成人よりも 3 時間ほど遅くなっており、
夜更かしや寝坊は自然なこと。
・睡眠が不足すると人の表情から感情などを読み取る能力が低下する。
・MRI で夢の中身が判定できる?
・ワクチンを接種する前の睡眠時間が短いとその効果は半減する! etc.――眠りの力を有効活用した素敵な未来を感じさせてくれる一冊です!